銘柄・更新 2026-11-02

銘柄牛(ブランド牛)とは?法律の定義・条件の項目・全国の数とGIとの関係

神戸ビーフのステーキ用の肉
神戸ビーフのステーキ用の肉(Orlando G. Calvo/CC BY-SA 3.0)
かんたんに言うと銘柄牛(ブランド牛)とは、産地の協議会やJAなどの団体が、品種・肥育地と期間・性別・等級などの条件を決め、それを満たした牛肉にだけ名前を使わせている牛肉のことです。「銘柄牛」という言葉そのものに法律の定義はなく、条件は銘柄ごとに違います。農林水産省の広報誌(2016年8月号)は、全国で320種類以上あると紹介しています。

神戸ビーフ、松阪牛、米沢牛のように、地名がついた牛肉の名前を「銘柄牛」や「ブランド牛」と呼びます。どれも有名な名前ですが、「銘柄牛とは何か」を決めた法律はありません。何が銘柄牛を銘柄牛にしているのかといえば、それぞれの協議会が決めた条件です。この記事では、農林水産省・消費者庁の資料をもとに銘柄牛のしくみを整理し、このサイトに載せている95銘柄の条件をデータで数えて、どんな条件が多いかを表にしました。数字は2026年11月2日時点のこのサイトのデータです。

この記事のポイント

  • 銘柄牛には法律の定義はなく、品種や飼育方法などの定義はブランドを推進する団体が決めています(農林水産省「消費者の部屋」、2023年更新)。
  • 全国の銘柄牛の数は、農林水産省の広報誌aff 2016年8月号で「320種類以上」。数え方の根拠は書かれておらず、公式の全数の統計は見当たりません(2026年11月確認)。
  • このサイトの95銘柄のうち、肉質等級の下限を条件にしているのは49銘柄、未経産の雌牛だけに限るのは松阪牛・米沢牛など5銘柄です。
  • 95銘柄のうち地理的表示(GI)に登録されているのは13銘柄。GIは全国で170産品(全品目、2026年7月10日現在)が登録されています。
  • 地名のついた銘柄でも、最も長く育った県が銘柄の地名の県と違えば、原産地の県名を書く必要があります(消費者庁 食品表示基準Q&A 生鮮-24)。

銘柄牛とは?法律の定義はなく、協議会などが条件を決める

銘柄牛とは、産地の団体が決めた条件を満たした牛肉にだけ使える名前のついた牛肉です。農林水産省の「消費者の部屋」は、品種や飼育方法など、それぞれの銘柄牛にはブランドを推進する団体が決めた定義がある、と説明しています。条件を決めるのは、協議会、JA、県の推進団体などで、銘柄によって違います。

「銘柄牛」「ブランド牛」という言葉そのものを決めた法律はありません。たとえば「和牛」には、国の検討会がまとめた表示のガイドラインがありますが、「銘柄牛」にはそうした全国共通の基準がなく、名前ごとの条件があるだけです。

ひとことで言うと

銘柄牛は「名前を名乗るための条件」がある牛肉です。条件の中身は国ではなく、それぞれの協議会などが決めています。

銘柄牛とブランド牛の違い

銘柄牛とブランド牛は、同じものを指す言い方です。どちらも公式の定義はなく、農林水産省の資料でも「銘柄牛」と「ブランドを推進する団体」が同じ文の中で使われています。このサイトでは「銘柄牛」を使います。

消費者庁のQ&Aが示す「銘柄が成り立つ」条件

消費者庁の食品表示基準Q&A(生鮮-24)は、地名を含む銘柄について、地域の銘柄を管理する組織があり、規約など消費者に示せる取り決めがあること、一定の地域で生産され一定の品質を表すものとして担保されていることなどで、一般に認知されて成り立っているもの、と説明しています。銘柄牛の条件が協議会の規約として公開されているのは、このためです。

銘柄牛の条件にはどんな項目がある?

銘柄牛の条件は、主に品種・肥育地と期間・性別・格付の等級・BMSの5つの項目の組み合わせです。農林水産省の広報誌aff(2016年8月号)も、品種や種別、枝肉の格付、飼育方法などをブランドを推進する団体が決めている、と紹介しています。下の表は、それぞれの項目の意味と、このサイトのデータにある例です。

銘柄牛の条件の主な項目
項目何を決めるかこのサイトの例
品種黒毛和種・褐毛和種などの品種や血統神戸ビーフ(但馬牛が素牛)
肥育地と期間どこで、どれだけの期間育てたか飛騨牛(14か月以上・最長飼養地が岐阜県)
性別未経産の雌牛・去勢牛など松阪牛(未経産の雌牛だけ)
等級歩留等級(A〜C)と肉質等級(1〜5)仙台牛(A5またはB5)
BMSサシの入り方の基準(No.1〜12)佐賀牛(4等級ならBMS No.7以上)

A5 和牛 意味BMS 牛肉

条件の言葉の意味

  • 肥育(ひいく):子牛を肉牛として出荷できる体に育てること
  • 未経産(みけいさん):子牛を産んだことがない雌牛
  • 去勢牛(きょせいぎゅう):生殖の働きをなくした雄牛
  • 歩留等級(ぶどまりとうきゅう):1頭から取れる肉の割合の等級。A・B・Cの3段階
  • 肉質等級:サシ・色・しまり・脂の質で決める等級。5〜1の5段階
  • BMS:脂肪交雑(サシ)の程度を示す基準で、12段階。数字が大きいほどサシが多い(農林水産省、2025年4月)

条件を満たさない牛はどうなる?

銘柄によっては、条件に届かない牛に別の名前を用意しています。たとえば仙台牛は、同じ育て方でC5〜B3と評価されたものを「仙台黒毛和牛」、佐賀牛は条件に満たないものを「佐賀産和牛」と呼ぶとしています(このサイトのデータ)。同じ産地の牛でも、銘柄名を名乗れるのは条件を満たしたものだけです。

表の5項目のほかに、月齢(生まれてからの月数)や枝肉の重さを条件にする銘柄もあります。このサイトのデータでは、神戸ビーフと但馬牛は生後28か月齢以上60か月齢以下、米沢牛はと畜時に生後33か月以上、熊野牛は24か月齢以上、みかわ牛は23か月齢以上を条件にしています。神戸ビーフは枝肉重量の上限(499.9kg以下)も決めています。

銘柄牛の数は全国でいくつ?

全国の銘柄牛の数は、国の一次情報では「320種類以上」という紹介が見つかります。農林水産省の広報誌aff 2016年8月号は、銘柄牛が日本各地で320種類以上肥育されていると書き、同省の「消費者の部屋」(こどもそうだん、2023年更新)もこの記事を出典に同じ数を紹介しています。

ただし、この数をどう数えたかは書かれていません。銘柄牛には登録の制度がないので、国が毎年まとめる全数の統計は見当たりませんでした(2026年11月確認)。新しい銘柄ができたり、統合されたりもするので、「何銘柄ある」と言い切れる公式の数字はない、と考えるのが正確です。

数字を見るときの注意

「全国〇〇銘柄」という数字を見かけたら、いつ・だれが・どう数えたかを確かめましょう。国の資料で確かめられたのは2016年の「320種類以上」だけでした。

銘柄牛の比較表地方別の銘柄牛・ブランド牛

このサイトの銘柄牛一覧は95銘柄

このサイトでは、GIに登録された銘柄と、47都道府県の代表的な銘柄・地域の銘柄を合わせて95銘柄を載せています。全国のすべてではありません。このうち85銘柄は協議会・県・GI明細書などの一次情報で条件を確かめ、10銘柄は公式の資料で確認を続けています。銘柄牛の一覧と条件は比較表で並べて見られます。

95銘柄の条件の傾向をデータで数える

このサイトの95銘柄の条件を数えると、肉質等級の下限を決めている銘柄が49あり、BMSの下限まで決めている銘柄は7と少数でした。下の表は、それぞれの条件を一次情報で確認できた銘柄の数です。条件が見つからなかった銘柄は数えていません(条件がないとは限りません)。

神戸ビーフ。性別・等級・BMS・枝肉重量まで条件があります
神戸ビーフ。性別・等級・BMS・枝肉重量まで条件があります(Zairon/CC BY-SA 4.0)
95銘柄の条件の傾向(2026年11月2日時点・このサイトのデータ)
条件銘柄数主な例
品種が黒毛和種86神戸ビーフ・松阪牛
品種が褐毛和種・日本短角種7くまもとあか牛・土佐あかうし・かづの牛
品種が乳用種(和牛ではない)1十勝若牛
最長飼養地を条件にする29近江牛・前沢牛・宮崎牛
肥育期間の下限がある23飛騨牛・葉山牛・石垣牛
性別の条件がある23神戸ビーフ・比婆牛
うち未経産の雌牛だけ5松阪牛・米沢牛
肉質等級の下限がある49仙台牛(5)・常陸牛(4)
歩留等級A・Bの条件がある22前沢牛・京都肉
BMSの下限がある7神戸ビーフ・佐賀牛
血統の条件がある37比婆牛・宮崎牛
認定証・シールがある18松阪牛・能登牛
GIに登録13神戸ビーフ・米沢牛

GIに登録された銘柄牛褐毛和種(あか牛)の銘柄牛日本短角種の銘柄牛

表から分かること

肉質等級の下限は、5等級以上が1銘柄(仙台牛)、4等級以上が21銘柄、3等級以上が23銘柄、2等級以上が4銘柄でした。下限を何等級にするかは銘柄によって幅があり、「銘柄牛ならA5」というわけではありません。

肥育地の条件は、「その県で最も長く育てたこと」とする銘柄が17ありました。これは、消費者庁の食品表示基準Q&Aが原産地を決めるときに使う「主たる飼養地(最も長く飼養した場所)」と同じ考え方です。松阪牛や米沢牛のように、最も長いうえに最後に育てた場所であることまで求める銘柄もあります。

品種の欄の残り2銘柄(博多和牛・長崎和牛など)は、品種の条件をまだ一次情報で確かめられていないため、表に入れていません。

銘柄牛とGI(地理的表示)・地域団体商標の関係

銘柄牛の名前を守るしくみには、協議会の自主的な条件のほかに、国のGI(地理的表示)と、特許庁の地域団体商標があります。どちらも名前を守る制度ですが、考え方が違い、両方を使っている銘柄もあります。農林水産省の資料(2026年10月)は、2つの違いを次のように整理しています。

GIと地域団体商標の違い(農林水産省の資料より)
項目GI(地理的表示)地域団体商標
守るもの地域と結びついた特性を持つ産品の名前地域の団体が使い、知られた名前
生産の基準生産の方法などを国に登録団体が任意に決め、変えられる
不正な表示行政が取り締まる権利者が自分で対応
申請できる団体生産者団体(法人格は問わない)事業協同組合・商工会など
主な要件産地と特性の結びつき需要者に知られていること

地理的表示 GI 牛肉

GIに登録されている銘柄牛

GIは全国で170産品(牛肉以外も含む全品目、2026年7月10日現在)が登録されています。このサイトの95銘柄では13銘柄がGIに登録されていて、最も早いのは但馬牛(第2号)と神戸ビーフ(第3号)の2015年12月22日、最も新しいのは十勝若牛(第164号)の2025年3月18日です。GIの登録には、特性をもった状態でおおむね25年以上の生産の実績があることなどが求められます(短くできる場合あり)。

GIの名前と銘柄名が同じとは限りません。たとえば松阪牛でGIに登録されているのは「特産松阪牛」で、兵庫県生まれの未経産雌牛を生産地だけで900日以上肥育したものに限られます。GIについては「地理的表示 GI 牛肉」の記事で詳しく説明しています。

GIは「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法、平成26年法律第84号)にもとづく制度です。登録された産品を売る人だけが「地理的表示」とGIマークを使え、不正な使い方は生産者団体が訴えなくても国が取り締まります(農林水産省、2026年10月)。店でGIマークを見かけたら、国に登録された基準を満たした産品という意味です。

地域団体商標は「名前の権利」

地域団体商標は、地名と商品名を組み合わせた名前を、地域の団体の権利として守る制度です。生産の基準は団体が自由に決められるので、品質の条件は協議会の規約で決めることになります。このサイトのデータでも、十勝若牛(2012年11月登録)など、地域団体商標に登録されていると協議会やGI明細書が説明している銘柄があります。

銘柄名がついた牛肉の表示の決まり

銘柄名がついていても、原産地の表示の決まりは同じです。消費者庁の食品表示基準Q&A(生鮮-24)によると、原産地の表示を省いて「○○牛」とだけ書けるのは、主たる飼養地(最も長く育った場所)が銘柄名の地名と同じ場合に限られます。最も長く育った県が銘柄名の地名の県と違うときは、「○○牛(△△県産)」のように原産地を書く必要があります。

この決まりは、2004年(平成16年)9月の生鮮食品品質表示基準の改正で入りました。それまでは、地名を含む銘柄名があれば原産地の表示を省けたため、銘柄の地名を原産地と誤解するおそれがある、という指摘があったと同Q&A(生鮮-18)は説明しています。

また同Q&Aは、市町村名を冠した銘柄が実際には周りの市町村や県全体で生産されている場合、銘柄の規約で生産する範囲をきちんと決めておく必要がある、としています。銘柄名の地名と、実際に育てられている範囲は同じとは限らないので、範囲は協議会の条件で確かめましょう。

国産牛 和牛 違い

銘柄牛の選び方

銘柄牛を選ぶときは、名前の知名度よりも、その銘柄が何を条件にしているかを見るのが近道です。条件が分かれば、品種や等級の好み、贈り物か家庭用かといった目的に合わせて選べます。このサイトでは味の評価やランキングは載せていないので、次の順に条件を比べてみてください。

直接買いに行くなら、協議会が指定店・登録店のリストを公開しているかも手がかりになります。このサイトの95銘柄では、37銘柄で協議会などのリストを確認でき、各銘柄のページからたどれます。

  1. 品種を決める

    黒毛和種のほか、褐毛和種(あか牛)や日本短角種、乳用種の銘柄もあります。比較表の品種の絞り込みで選べます。

  2. 地方で絞る

    地方のページで、近くの産地や旅行先の銘柄を一覧で見られます。

  3. 条件を比べる

    等級の下限、BMS、性別、肥育期間など、気になる項目を比較表で並べます。条件が「確認できていません」の項目は、協議会の資料で確かめます。

  4. GIや認定証を見る

    GIマークや、協議会の証明書・シールがあるかを見ます。認定証を出す銘柄は、このサイトのデータでは18銘柄です。

  5. 買うときは個体識別番号を確かめる

    精肉には10桁の個体識別番号が表示されています。品種や飼養地を調べて、銘柄の条件と見比べます。

個体識別番号 牛 調べ方ふるさと納税 和牛 選び方

つまずきやすいところ

  • 「銘柄牛=A5」ではありません。肉質等級の下限は銘柄によって2〜5等級と幅があり、等級の条件を確認できない銘柄もあります。
  • 「銘柄牛=和牛」ではありません。十勝若牛のように、乳用種を育てた国産牛の銘柄もあります。
  • 「銘柄の地名=生まれた場所」ではありません。多くの銘柄は肥育地を条件にしていて、子牛はほかの県から来ることがあります。
  • 「GIの名前=銘柄名」とは限りません。松阪牛のGIは「特産松阪牛」です。
  • 「全国〇〇銘柄」の数は、数え方の根拠が示されていないことが多い数字です。
  • 「三大和牛」のような呼び方には公式の定義はありません。

三大和牛

銘柄牛を選ぶ前のチェックリスト

  • 条件を決めている団体(協議会・JAなど)はどこか
  • 品種と血統の条件は何か
  • 肥育地は「最も長く育てた場所」か、期間の下限はあるか
  • 性別の条件(未経産の雌牛だけか、去勢牛も含むか)はあるか
  • 肉質等級・歩留等級・BMSの下限はいくつか
  • GIに登録されているか、認定証やシールはあるか
  • パックの原産地と個体識別番号は、銘柄の条件と合っているか

まとめ

  • 銘柄牛(ブランド牛)は、協議会などが決めた条件を満たした牛肉だけが名乗れる名前で、法律の定義はありません。
  • 条件の主な項目は、品種・肥育地と期間・性別・等級・BMSです。
  • 全国の数は国の広報誌で「320種類以上」(2016年)と紹介されていますが、公式の全数の統計は見当たりません。
  • このサイトの95銘柄では、肉質等級の下限がある銘柄が49、BMSの下限がある銘柄が7、GI登録が13でした。
  • GIは国が基準を登録して取り締まる制度、地域団体商標は団体が持つ名前の権利です。
  • 選ぶときは、名前ではなく条件を比べ、買うときは個体識別番号で確かめます。

よくある質問

銘柄牛とブランド牛の違いは何ですか?

同じものを指す言い方です。どちらにも法律の定義はなく、産地の協議会などが決めた条件を満たした牛肉の名前を指します。

銘柄牛は全国にいくつありますか?

農林水産省の広報誌aff 2016年8月号は「320種類以上」と紹介しています。数え方の根拠は書かれておらず、国による全数の統計は見当たりませんでした(2026年11月確認)。

銘柄牛はすべて和牛ですか?

いいえ。多くは黒毛和種などの和牛ですが、北海道清水町の十勝若牛のように、主にホルスタイン種の雄牛を育てた国産牛の銘柄もあります。

銘柄牛はすべてA5ですか?

いいえ。このサイトの95銘柄で肉質等級の下限を確認できたのは49銘柄で、下限は2等級から5等級まで幅があります。5等級以上に限るのは仙台牛の1銘柄でした。

銘柄牛の条件はだれが決めていますか?

協議会、JA、県の推進団体など、その銘柄を管理する団体です。GIに登録された銘柄は、生産の方法などが国に登録されています。

GIに登録されていない銘柄牛は本物ではないのですか?

そうではありません。GIは名前を守る方法のひとつで、登録するかどうかは団体が選びます。GIに登録していなくても、協議会の条件や地域団体商標で名前を守っている銘柄があります。

地名のついた銘柄牛は、その土地で生まれた牛ですか?

とは限りません。多くの銘柄は、どこで最も長く育てたかを条件にしています。生まれた場所は、個体識別番号を家畜改良センターの検索で調べると分かります。

銘柄牛の一覧はどこで見られますか?

このサイトの比較表で、95銘柄の品種・肥育地・等級などの条件を並べて見られます。全国のすべての銘柄ではありません。

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