買い方・見分け方・更新 2026-11-02

地理的表示(GI)の牛肉13銘柄の一覧と、GIマーク・登録の条件

松阪牛のスライス
松阪牛のスライス(Schellack/CC BY 3.0)
かんたんに言うと地理的表示(GI)は、地域と結び付いた特性をもつ産品の名称を、農林水産大臣が登録して国が守る制度です。牛肉では神戸ビーフや近江牛など13銘柄が登録されています(農林水産省の登録産品一覧、令和8年7月10日現在、2026年11月確認)。13銘柄のうち12銘柄が和牛で、十勝若牛は主にホルスタイン種の牛肉です。

銘柄牛のパッケージや店頭で、富士山と日の丸を描いた「GIマーク」を見かけることがあります。これは、その牛肉が国の地理的表示(GI)保護制度に登録された産品であることを示す印です。この記事では、農林水産省の資料をもとに GI 制度の仕組みと登録の条件・効果を確かめ、牛肉の GI 13銘柄を一覧にします。地域団体商標との違いや、このサイトで GI 登録の銘柄だけを探す方法も紹介します。

この記事のポイント

  • GI 制度は「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(平成26年法律第84号)に基づき、2015年(平成27年)6月1日に施行されました。
  • 牛肉の GI は13銘柄で、最初の登録は2015年12月22日の但馬牛(第2号)と神戸ビーフ(第3号)、最も新しいのは2025年3月18日の十勝若牛(第164号)です。
  • 13銘柄の品種は、黒毛和種10、褐毛和種1(くまもとあか牛)、日本短角種1(かづの牛)、ホルスタイン種1(十勝若牛)です。
  • GI の不正使用には農林水産大臣が命令を出し、命令に違反した個人は5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金(併科あり)の対象になります。
  • GI 登録には、特性をもった状態でおおむね25年以上の生産実績が必要で、登録免許税は9万円、更新料はかかりません。

地理的表示(GI)保護制度とは?

地理的表示(GI)保護制度は、地域ならではの自然や歴史の中で育まれた品質や評判などの特性をもつ産品の名称を、地域の知的財産として国が守る制度です。GI は Geographical Indication(地理的表示)の略です。

根拠となる法律は、2014年に成立した「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(平成26年法律第84号、地理的表示法・GI法)で、2015年(平成27年)6月1日に施行されました。担当は農林水産省の輸出・国際局知的財産課です。

GI に登録されるのは、産品そのものではなく「名称」です。たとえば「神戸ビーフ」という名前を、明細書に書かれた生産地や生産の方法とセットで登録します。登録された生産者団体は、構成員の生産が明細書どおりに行われているかを指導・検査します(生産行程管理業務)。

牛肉の GI の数

農林水産省の登録産品一覧(令和8年7月10日現在)では、国内で170産品が登録され、そのうち牛肉は13銘柄です(2026年11月確認)。

銘柄牛 とは和牛とは

GI の名称を使えるのは誰か

地理的表示と GIマークを使えるのは、明細書の基準を満たす産品を生産する生産者団体の構成員と、その産品を販売する人などです。同じ地域で基準どおりに生産している生産者は、登録された団体に加わるなどすれば地理的表示を使えます。逆に、登録された団体の外で基準を満たさずに作られた産品は、その名称を名乗れません。

GIマークとは?何を示す印か

GIマークは、その産品が国に登録された GI 産品であることを示す登録標章です。農林水産省は、大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフに、日本国旗の日輪の色である赤と金色を使ったデザインだと説明しています。

GIマークは、地理的表示(登録された名称)とセットで使うことになっています。登録された名称なしにマークだけを付けることはできません。農林水産省のガイドラインに沿った使い方であれば、使うたびに国へ報告したり許可を受けたりする必要はありません。

GI 産品を主な原材料にした加工品にも GIマークを付けられます。ただし、加工品そのものが GI 産品だと誤解されないよう、原材料の GI 名称や写真と一体で表示する決まりです。

GIマーク自体も、日本のほか EU・英国・米国・東アジアの国々を含む約20の主要な輸出先の国や地域で商標登録されています(中国では著作権として登記)。輸出先でも、日本の正規の産品であることを示す印として使えるようにするためです。マークは基本のカラーのほか、モノクロや単色でも使えます。

  • GIマーク:国に登録された GI 産品の印。登録名称とセットで表示
  • 協議会の証明(例:神戸ビーフの「のじぎく」の紋章、松阪牛シール):各協議会が出す印
  • どちらも付いている商品もあれば、片方だけの商品もある

GI 登録の条件は?申請から登録までの流れ

GI に登録されるには、産地と結び付いた特性が確立していることと、生産者団体がその特性を守る管理の仕組みをもっていることが必要です。

農林水産省のよくある質問では、特性をもった状態でおおむね25年以上の生産実績が必要とされています(周知の程度などにより短縮される場合あり)。新しく開発したばかりの産品は登録できません。2022年(令和4年)11月の審査基準の見直しで、ほかと差別化された高い品質がなくても、地域で育まれた製法や評判、ものがたりなどの特性があれば登録できるようになりました。酒類・医薬品・化粧品などは対象外です。

生産者団体には、産品の特性を守るための「生産行程管理業務規程」を作り、それを実行するための経理や人員の体制をもつことも求められます。登録の後も、農林水産大臣が生産行程管理業務が適切に機能しているかを定期的に確かめ、適切でなければ団体に措置命令を出し、従わない場合は登録を取り消します。

  1. 生産者団体が申請する

    地域の生産業者の団体が、申請書と明細書、生産行程管理業務規程などを農林水産大臣に出します。

  2. 申請の内容が公示される

    公示から3か月間は、誰でも意見書を出せます。

  3. 学識経験者の意見を聞いて審査する

    登録を拒否する理由がないかを確かめて、登録の可否を決めます。

  4. 登録免許税を納めて登録される

    登録免許税9万円を納めると登録内容が公示されます。更新料はかかりません。

GI 登録の効果は?不正表示の取り締まりと海外での保護

GI に登録されると、明細書の基準を満たす産品だけがその名称と GIマークを使えるようになり、不正な表示は国が取り締まります。生産者団体が自分で訴訟を起こさなくてもよい点が、商標との大きな違いです。

地理的表示や GIマークを不正に使った人には、農林水産大臣が措置命令を出します。地理的表示の不正使用で命令に従わない場合、個人は5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金(併科あり)、団体は3億円以下の罰金の対象です。似た表示も規制の対象になります。

海外では、GI を相互に守る取り決めがある EU と英国で、日本の GI 名称が保護されます。農林水産省の資料には、ドイツで外国産の牛肉に「Wagyu “Kobe-Style”」と表示した例について、日本の要請を受けて EU 当局が事業者を取り締まった事例が紹介されています。飛騨牛は2023年9月30日に日EU・EPA に基づいて EU 域内で保護されました。

インターネット通販への対応もあります。農林水産省は、世界の主要な約180のショッピングサイトで GI 名称の不正使用が疑われる出品について運営会社に削除や修正を求めており、資料では800件以上が削除済みとされています。

不正表示を見つけたら

農林水産省は「地理的表示等の不正表示通報窓口」を設けています。GI 名称の不正な使い方が疑われる商品を見つけたときの連絡先です。

牛肉の GI 登録一覧(13銘柄)

牛肉の GI は、2015年12月の但馬牛・神戸ビーフから、2025年3月の十勝若牛まで13銘柄です。下の表は、このサイトの銘柄データの GI 登録番号・登録日・品種を、農林水産省の登録産品一覧(令和8年7月10日現在)と照らし合わせたものです(2026年11月確認)。

名称は GI に登録された名前です。松阪牛は「特産松阪牛」、神戸ビーフは「神戸ビーフ」のほか「神戸肉」「神戸牛」「KOBE BEEF」も登録名称に含まれます。

地理的表示(GI)に登録された牛肉13銘柄(登録番号順、2026年11月確認)
名称登録番号都道府県登録年品種
但馬牛第2号兵庫県2015年黒毛和種
神戸ビーフ第3号兵庫県2015年黒毛和種
特産松阪牛第25号三重県2017年黒毛和種
米沢牛第26号山形県2017年黒毛和種
前沢牛第28号岩手県2017年黒毛和種
宮崎牛第55号宮崎県2017年黒毛和種
近江牛第56号滋賀県2017年黒毛和種
鹿児島黒牛第58号鹿児島県2017年黒毛和種
くまもとあか牛第67号熊本県2018年褐毛和種
比婆牛第83号広島県2019年黒毛和種
飛騨牛第126号岐阜県2023年黒毛和種
かづの牛第157号秋田県2025年日本短角種
十勝若牛第164号北海道2025年ホルスタイン種(主)

登録年で見ると

登録年ごとに数えると、2015年が2銘柄(但馬牛・神戸ビーフ)、2017年が6銘柄、2018年・2019年・2023年が各1銘柄、2025年が2銘柄(かづの牛・十勝若牛)です。2017年には、特産松阪牛・米沢牛・前沢牛が3月3日に、宮崎牛・近江牛・鹿児島黒牛が12月15日に、それぞれ同じ日に登録されました。

GI の銘柄牛を品種で見ると?和牛でない十勝若牛

13銘柄のうち12銘柄は和牛で、そのうち10銘柄が黒毛和種です。和牛の4品種のうち、褐毛和種と日本短角種からも1銘柄ずつ登録されています。

十勝若牛は、北海道上川郡清水町で育てられる、主にホルスタイン種(乳用種)の雄牛の牛肉です。生後14か月齢を中心に16か月齢までに出荷する若い牛で、和牛ではなく国産牛の銘柄です。GI は「和牛だけの制度」ではなく、地域と結び付いた特性があれば品種を問わず登録されます。

牛肉の GI 13銘柄の品種別の数
品種銘柄数銘柄
黒毛和種10但馬牛・神戸ビーフ・特産松阪牛ほか
褐毛和種1くまもとあか牛
日本短角種1かづの牛
ホルスタイン種1十勝若牛

国産牛 和牛 違い褐毛和種の銘柄一覧日本短角種の銘柄一覧ホルスタイン種の銘柄一覧

GI の条件は銘柄ごとにばらばら

GI 明細書の条件は銘柄ごとに違います。神戸ビーフや前沢牛、宮崎牛は肉質4等級以上を条件にしていますが、近江牛や鹿児島黒牛の明細書には等級の条件がありません。かづの牛は地域内の牧野での放牧を条件にしています。「GI だから同じ基準」ではない点に注意してください。

GI と地域団体商標の違いは?

GI と地域団体商標は、どちらも地域の産品の名称を守る制度ですが、守り方が違います。GI は国が登録して取り締まり、地域団体商標は権利をもつ団体が自分で権利を使います。

農林水産省の資料では、GI は「地域共有の財産」、地域団体商標は「地域団体の財産(権利)」として保護すると説明しています。両方を組み合わせて使うこともでき、神戸ビーフと米沢牛は GI 登録の前の2007年に地域団体商標にも登録されています。

申請できる団体と要件も違います。GI は生産業者や加工業者を構成員に含む団体が申請でき、法人格のない地域のブランド協議会でも申請できます。地域団体商標は、事業協同組合などの特定の組合、商工会、商工会議所、NPO に限られます。また、GI は生産地に特有の要因と特性が強く結び付いていることが要件で、地域団体商標は一定の需要者に名称が知られていること(周知性)が要件です。対象も、GI は農林水産物や飲食料品(酒類などを除く)に限られ、地域団体商標はすべての商品・サービスが対象です。

地理的表示(GI)と地域団体商標の主な違い(農林水産省の資料より)
項目地理的表示(GI)地域団体商標
所管農林水産省特許庁
守るもの地域と結び付いた特性をもつ産品の名称地域団体が使って広く知られた名称
品質の基準生産方法などを登録任意(自由に設定・変更)
不正な表示への対応行政が監視・取り締まり権利者が自分で権利行使
海外での保護相互保護の国(EU・英国)で保護国ごとに登録が必要

GI 登録の銘柄牛の探し方

このサイトでは、銘柄の比較表を「GI 登録あり」で絞り込むと、GI に登録された13銘柄だけを並べて見られます。

  1. 比較表を GI で絞り込む

    銘柄の比較表で GI の絞り込み(/brand/?gi=1)を使うと、GI 登録の銘柄だけが表示されます。

  2. 銘柄ページで条件を確かめる

    各銘柄ページに、GI 登録番号・登録日と、明細書をもとにした条件をまとめています。

  3. 農林水産省の一覧で照らし合わせる

    最新の登録状況は、農林水産省の「登録産品一覧」の都道府県別の表で確かめられます。

  4. 店頭では GIマークと名称を見る

    GIマークが登録名称とセットで表示されているかを確かめます。

GI 登録の銘柄一覧銘柄牛の比較表地方別の銘柄牛

つまずきやすいところ

  • 松阪牛で GI に登録されているのは「特産松阪牛」だけです。一般の松阪牛は GI 産品ではありません。
  • GI 登録は「おいしさの順位」を示すものではありません。地域と結び付いた特性と、その管理の仕組みを国が登録したものです。
  • GI の牛肉=和牛ではありません。十勝若牛は主にホルスタイン種の国産牛です。
  • GI 登録の前から同じ名称を使っていた事業者は、条件を満たせば原則として登録の日から7年間、その表示を使い続けられます(先使用)。
  • GI に登録されていない銘柄牛にも、協議会の定義や認定はあります。GI の有無だけで銘柄の条件の厳しさは判断できません。

三大和牛個体識別番号 牛 調べ方

GI の牛肉を選ぶときのチェックリスト

  • GIマークが登録名称とセットで表示されているか
  • 表示されている名称が GI の登録名称と合っているか(例:特産松阪牛)
  • 協議会の証明書・シールなど、銘柄ごとの印があるか
  • 個体識別番号が表示されているか
  • 品種(黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・ホルスタイン種)を確かめたか
  • 最新の登録状況を農林水産省の登録産品一覧で確かめたか

まとめ

  • 地理的表示(GI)は、地域と結び付いた特性をもつ産品の名称を国が登録して守る制度で、2015年6月1日に施行されました。
  • 牛肉の GI は13銘柄で、黒毛和種10、褐毛和種・日本短角種・ホルスタイン種が各1です(2026年11月確認)。
  • GIマークは登録名称とセットで使う国の印で、不正な使用には国が措置命令を出します。
  • 地域団体商標は特許庁の制度で、権利者が自分で権利を使う点が GI と違います。
  • GI の条件は銘柄ごとに違うため、銘柄ページで明細書の条件を確かめるのが確実です。

よくある質問

GI に登録された牛肉はいくつありますか?

13銘柄です(農林水産省の登録産品一覧、令和8年7月10日現在、2026年11月確認)。但馬牛、神戸ビーフ、特産松阪牛、米沢牛、前沢牛、宮崎牛、近江牛、鹿児島黒牛、くまもとあか牛、比婆牛、飛騨牛、かづの牛、十勝若牛です。

GIマークはどんなデザインですか?

大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフにしたマークで、赤と金色が使われています。登録された地理的表示(名称)とセットで表示します。

GI に登録されると何が変わりますか?

基準を満たす産品だけがその名称と GIマークを使えるようになり、不正な表示は国が取り締まります。EU や英国など、相互保護の取り決めがある国でも名称が守られます。

GI と地域団体商標はどちらが上ですか?

上下の関係はありません。GI は農林水産省、地域団体商標は特許庁の制度で、守り方が違います。両方に登録している銘柄もあります。

松阪牛は GI に登録されていますか?

GI 第25号として登録されているのは「特産松阪牛」です。兵庫県生まれの未経産雌牛を12か月齢までに導入し、生産地だけで900日以上肥育したものに限られます。

GI の牛肉はすべて和牛ですか?

いいえ。十勝若牛(第164号)は主にホルスタイン種の雄牛の牛肉で、和牛ではありません。ほかの12銘柄は和牛です。

三大和牛はすべて GI に登録されていますか?

よく名前が挙がる神戸ビーフ(第3号)、特産松阪牛(第25号)、米沢牛(第26号)、近江牛(第56号)は登録されています。ただし「三大和牛」そのものには公式の定義が見つかっていません。

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